光半導体デバイスの開発について

光半導体デバイスの開発においては、発光波長、発光効率、および発光出力が主要な評価指標となります。LEDや半導体レーザーに代表される光半導体デバイスでは、伝導帯に存在する電子が、より低いエネルギー準位である価電子帯へ遷移(再結合)する過程において光子が放出されます。

伝導帯の最下端と価電子帯の最上端とのエネルギー差はバンドギャップ(禁制帯幅)と呼ばれ、この値が放出される光子のエネルギー、すなわち発光波長を規定します。したがって、材料組成や結晶構造の制御は、所望の発光波長を得るうえで本質的に重要です。

発光効率は、注入された電子・正孔対のうち、光子放出を伴う輻射再結合が占める割合に強く依存します。結晶欠陥や不純物準位の存在、あるいはフォノン放出を伴う非輻射再結合が増加すると、内部量子効率は低下し、結果として発光効率の劣化を招きます。

発光出力を向上させるためには、1. キャリア注入量の増加、2. キャリアを高効率で輻射再結合させる活性層設計、3. 生成された光を効率良くデバイス外部へ取り出す光取り出し構造の最適化、という三つの観点から、デバイス構造および製造プロセスを総合的に最適化する必要があります。

実用デバイスの開発においては、発光強度だけでなく、光の「質」を表す放射特性の評価も不可欠です。これには、出射端面近傍における光強度分布を示すNFP(Near Field Pattern:近視野像)と、十分に離れた位置での角度分布を示すFFP(Far Field Pattern:遠視野像)の測定が含まれます。

NFP測定により活性層における発光領域のサイズや形状を把握し、FFP測定によりビームの広がり角や指向性を評価することで、光学系への結合効率の向上やデバイス信頼性改善に向けた設計フィードバックが可能となります。

レーザーダイオードの開発においては、発振特性を支配する重要な指標として光学利得(ゲイン)の評価が不可欠です。代表的な手法であるVSL(Variable Stripe Length)法では、ストライプ状の励起光の長さを段階的に変化させながら試料を励起し、導波方向端面から出射する増幅自然放出光(ASE)の強度変化を解析することで光学利得を算出します。

この手法により、利得スペクトル、透明電流密度、利得係数、内部光損失などを定量的に評価することが可能であり、レーザーダイオードの材料設計、構造最適化、および量産前の特性評価に広く用いられています。

■フォトルミネッセンス(PL)測定

真性半導体では、価電子帯は電子で満たされ、伝導帯はほぼ空の状態にあるため、 外部から電圧を印加しても自由キャリアがほとんど存在しません。 そこで、バンドギャップ以上のエネルギーを持つレーザー光を照射し、 価電子帯の電子を伝導帯へ励起します。

励起された電子は価電子帯へ再結合する過程で光を放出します。 この光放出現象をフォトルミネッセンス(Photoluminescence)と呼びます。 PLスペクトルのピーク波長から、材料のバンドギャップエネルギーや 準位構造を評価することができます。

クライオスタットを用いた極低温フォトルミネッセンス(PL)測定により、 励起子発光や欠陥準位に起因する発光成分を詳細に解析することが可能であり、 非輻射再結合が抑制される低温条件下での発光強度を基準とすることで、 内部量子効率(IQE)の評価・推定が行われます。

使用する主な測定装置

・フォトルミネッセンス測定装置
・顕微フォトルミネッセンス測定装置
・極低温フォトルミネッセンス測定装置
・フォトルミネッセンスマッピング測定装置

■エレクトロルミネッセンス(EL)測定

不純物ドーピングによって電子が多数キャリアとなるN型半導体と、正孔が多数キャリアとなるP型半導体を形成し、これらを接合することでPN接合構造を有する光半導体デバイスが作製されます。

このデバイスに順方向電流を注入すると、接合領域において電子と正孔が再結合し、その過程で光が放出されます。このように、電流注入によって生じる発光現象を評価する手法が、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)測定です。EL測定では、発光波長、発光出力、および電流−電圧特性などのデバイス特性を評価します。

特に、注入電流に対する発光出力および電圧の関係を同時に測定する手法は、IVL特性測定と呼ばれ、光半導体デバイスの基本的な電気的・光学的特性を把握するうえで重要です。また、電流−電圧特性の解析により、順方向低電流領域や逆方向バイアス条件下におけるリーク電流の評価も可能であり、接合品質や欠陥、表面・界面状態を反映した電気的特性の指標として用いられます。

さらに、パルス駆動条件下でEL測定を行うことにより、自己発熱の影響を抑制しつつ、光半導体デバイスの応答性能や動的な発光挙動を評価することが可能となります。

2π積分球を用いた測定では、デバイスの放射面側半空間(半球領域)に放射される光を収集することができ、放射面方向における分光放射束の測定が可能です。この手法により、注入キャリア数に対してデバイス外部へ放出された光子数として定義される外部量子効率(EQE)の評価が行われます。なお、測定結果は放射面側への光取り出しに限定されるため、全立体角(4π)への放射を仮定した場合には、放射分布や反対側への放射成分を考慮した補正が必要となります。

使用する主な測定装置

・マニュアルプローバー
・LED放射束測定マニュアルプローバー
・セミオートプローバー

■光学利得(ゲイン)測定

レーザーダイオードの開発においては、発振特性を支配する重要な指標として光学利得(ゲイン)の評価が不可欠です。 光学利得は、活性層中を伝搬する光がキャリアとの相互作用によって増幅される度合いを表し、 発振しきい値電流や発振波長特性を決定づける基本的な物理量です。

光学利得の評価には、代表的な手法としてVSL(Variable Stripe Length)法が広く用いられています。 この手法では、ストライプ状の励起光を用いて試料表面を励起し、 励起領域の長さを段階的に変化させながら測定を行います。 励起されたキャリアにより導波路方向に増幅された自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)が 試料端面から出射し、その強度は励起長に依存して増加します。

出射ASE強度の励起長依存性を解析することにより、モーダル光学利得の評価が可能です。 さらに、励起条件を変化させた測定結果を解析することで、 利得係数や透明キャリア密度などのパラメータを推定することができます。 なお、内部光損失の評価には追加の仮定や他の測定手法との併用が必要となりますが、 これらの解析を通じて、レーザーダイオードの材料設計、活性層構造の最適化、 および量産前の特性評価に活用されます。

使用する主な測定装置

・VLS(Variable Stripe Length)法レーザーダイオード利得評価装置